Oracle GRID Centerは、日本オラクルのグリッド技術と戦略パートナーのソリューションを組み合わせたベストプラクティス作成を目指した、最先端のグリッド環境を備える検証センター。今回の発表では、同センターでの第1弾の検証として、日本IBMとともに行った「Oracle on IBM system p インフラ最適化検証」に関する結果報告がされた。
具体的な内容は、日本オラクルの「Oracle Database 10g」と日本IBMのUNIX/Linuxサーバー「IBM System p」を組み合わせたLinux環境において、大規模システム構成にも耐える拡張性と柔軟性を実証すること。日本オラクル、システム製品統括本部 営業推進部長の杉崎正之氏によると、現状のニーズを考えたところ、自然とこうした検証内容の構想が生まれたと語る。「サーバーやデータベース(DB)統合化に対するユーザーの意識は非常に高い。さらに最近では、OS自体が安定化したためか、オープンなイメージがあるからか、Linuxを利用したいというユーザーも多い。しかし、ミッションクリティカルなシステムにおいてはわずかな停止も許されず、また、Linuxで本当に拡張性や柔軟性が確保できるのかという点が問題視されることがあった。こうした背景があったからこそ、今回の検証内容に至った」(杉崎氏)という。
検証方法としては、「Red Hat Enterprise Linux AS Version 4」を搭載したDBサーバーに負荷をかけ、CPUリソースが100%になった時点で、論理パーティション(LPAR)の区画を動的に変更。4CPUの構成から、8個、12個、と4つずつ段階的にCPUを増やしていき、最大16CPUの構成までの稼働状況を確認する。これにより、「Linux環境でCPUを追加できるという拡張性と、動的にCPUを追加することで、増大する負荷にオンラインで対応できるという柔軟性を実証する」(日本オラクル、システム製品統括本部 Grid Computing技術部の中村智武氏)という。検証アプリケーションとしては、「現実的な検証としたかったので、ベンチマーク用のものは使いたくなかった。さらに大量トランザクションが発行できるものという前提があった」(中村氏)とのことから、Webショッピングサイトを想定した「JPetStore」というアプリケーションを使用。
「16CPU構成でも問題なく稼働した上、CPUの動的追加も可能ということが実証できたことで、Linxによる大規模SMP環境でもOracle Database on IBM System pの構成は安心して使用できるということが証明できたのではないか」と語る杉崎氏。今後は検証フェーズ2として、Oracle GRIDと日本IBMの仮想化技術をLinux上で組み合わせた、より具体的な検証も予定。「その成果は、3月2日に開催するIBM/Oracle Technology&Solution Day 2007において紹介する」(杉崎氏)とした。